手術を併用する顎変形症の矯正治療

骨格の大きさや歪みに大きな問題を抱えた「顎変形症」の症例では、歯の移動だけでは良い結果が得られないために、あごの外科手術を併用した外科矯正治療が必要となります。
顎変形症の外科矯正治療は、外科手術によって下あごの大きさや角度を調整することができ、歯並びやかみ合わせはもちろん、お顔のバランスも大きく改善することができるため、満足度の高い治療結果となる患者さんが多いです。
外科手術を併用した場合と矯正治療だけで行う場合の違いをよくご理解いただいた上で、ご検討いただくようお願いしています。
外科手術は大学病院で行い、入院期間は1~2週間
外科矯正手術はよく行われている一般的な手術であり、特別に危険なものではありませんが、外科手術である以上のリスクは伴いますので、手術の担当医師の十分なカウンセリングの後に判断していただきます。
術前術後矯正は当院で行い、通院期間は各1~2年
手術前と手術後の矯正治療は当院で行います。
外科手術前の矯正治療(術前矯正)は、一般的に1~2年間です。ここでは、手術によって顎をずらした時にかみ合うよう歯並びや歯の向きを調整します。
外科手術後の矯正治療(術後矯正)は、半年から1年程度です。ここで、手術後の不安定なかみ合わせを整え、最終的な歯並びを作り上げます。
手術を併用した顎変形症の矯正治療例

治療の詳細
- 主訴
- 顎の変形、かみ合わせが悪い
- 診断名
- 顎変形症
- 初診時年齢
- 24歳
- 治療に用いた主な装置
- ブラケット装置
- 抜歯部位
- 非抜歯(親知らずの抜歯〉
- 治療期間(通院頻度)
- 動的治療:2年4ヵ月(4~6ヵ月に1回)+保定期間:2年6ヵ月(3ヵ月に1回)
- 治療費の総額(目安)
- 保険診療が適用になります。
- 副作用・リスク
- 外科手術後は腫れや痛みを伴いますが、徐々に緩和します / 知覚異常やしびれなどが起こる場合があります / 手術により口腔環境が変わるため、機能訓練(リハビリ)が必要になる場合があります / 矯正治療中は歯磨きしにくい部分ができるため、むし歯や歯周病になるリスクが高くなります / 治療後わずかに歯根の吸収が起こる場合があります / 装置調整後に痛みを感じる場合があります / 矯正装置が外れた後、保定装置を指示通りに使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります / 協力性が低い場合は治療が難しくなります
健康保険の適用について
顎変形症と診断された方の外科手術を伴う矯正治療は、健康保険が適用となります。
また、口唇裂や口蓋裂などの先天異常は不正咬合を伴うことが多く、矯正治療が必要となります。厚生労働大臣が定める先天性疾患は、健康保険が適用されます。
健康保険が適用になる先天性疾患について、詳しくはこちらをご覧ください。
保険適用の矯正歯科治療
指定自立支援医療機関(育成医療・更生医療)、顎口腔機能診断施設基準適合施設について
アルファ矯正歯科は、指定自立支援医療機関(育成医療・更生医療)、顎口腔機能診断施設基準適合施設に指定されています。
下記のケースについて保険治療が適用になります。
- 顎変形症と診断され外科手術を併用した矯正治療を行う場合
- 唇顎口蓋裂やダウン症候群など厚生労働大臣が定める先天性の特定疾患に伴う不正咬合
育成・更生医療機関とは?
- 育成更生医療を行うために必要な設備や体制を有している
- 適切な医療機関における研究従事年数が5年以上である
などの条件を満たした医療機関が指定されるものです。
顎口腔機能診断施設とは?
- 当該医療を行うために必要な検査を行える機器を備えている
- 手術を担当する医療機関との連携体制が整備されている
などの条件を満たした医療機関が指定されるものです。
矯正治療の目安
矯正治療費・矯正期間は症例や治療方法により大きく異なりますので、コンサルテーション時に詳しくご説明いたします。下記はあくまで一般的な目安として参考にしてください。
外科手術を併用する矯正治療の目安
- 治療費の総額(目安)
- 保険診療が適用になります。
- 治療期間(通院頻度)
- 動的治療 2~3年程度(4~6週間に1回)
保定期間 2年程度(3ヵ月に1回)
- 治療内容
- 外科手術の前後に矯正歯科治療を行います。
副作用・リスク
- 外科手術後は腫れや痛みを伴いますが、徐々に緩和します。
- 知覚異常やしびれなどが起こる場合があります。
- 手術により口腔環境が変わるため、機能訓練(リハビリ)が必要になる場合があります
- 矯正治療中は歯磨きしにくい部分ができるため、むし歯や歯周病になるリスクが高くなります。当院では歯磨き指導や歯のクリーニング、だ液検査などを実施し、リスクの軽減に努めています。
- 治療後わずかに歯根の吸収が起こる場合があります。
- 装置調整後に痛みを感じる場合があります。
- 矯正装置が外れた後、保定装置を指示通りに使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 協力性が低い場合は治療が難しくなります。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用についてさらに詳しく記載しています。 こちらをご覧ください。